少し前になりますが、
世界的フルート奏者 オーレル・ニコレさんが90歳で亡くなられました。
私が高校生の時、
とにかくフルートがうまくなりたくて、
ムラマツの新宿店に行き、
店員さんに、
「フルートがうまくなりたいんですけど、
どのCDを聞いたらいいですか?」
と聞いたら、
すご〜く悩んだ末に出してくれたのが、
オーレル・ニコレさんのCDでした。
曲は、モーツァルトのフルート協奏曲集。
いま振り返っても、この店員さんのチョイスには
感謝してます!!
さすが、ムラマツ!!
現在のように、
動画サイトでいろいろな人の演奏を聴ける時代ではなかったので、
もう、この一枚をずっと聴いてましたね。。
これを聴いてたらうまくなるんだ!と信じて。
このころ、まだ私はモーツァルトのフルート協奏曲を知らなくて、
楽譜も持っていなかったのですが、
いつのまにか、
CDのニコレさんの演奏に合わせて、その曲を演奏できるまでになっていました。
それからわずか4年後、
幸運にもニコレさんが来日し、
レッスンを受けられる機会に恵まれました。
ニコレさんにレッスンを受けるのなら、
絶対にモーツァルトのフルート協奏曲だと決めていたので、
すごく練習してレッスンに臨んだんです。
私の演奏を通して聴いたあと、
ニコレさんは、
「伴奏のオーケストラの部分をフルートで演奏してみてください。」
と私に言いました。
「前奏からですか?」(前奏だけで1分強ある)
と聞くと、
「YES」と。
何度も何度もCDを聴いていたから、
バイオリンパートもスラスラ演奏できます。
すると、
「よく勉強してあるね!
この曲はもう自分のものになっているから、
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲などを勉強しなさい。
もっといい演奏ができるヒントが隠されているよ。」
と言いました。
私の尊敬する、元オーボエ奏者で現在は指揮者の宮本文昭さんも、
交響曲やオペラなど、
自分の専門の楽器ではない音楽も聴きなさいとおっしゃっていましたし、
他の楽器の曲を勉強することも大切なのだと思います。
オーレル・ニコレさんのレッスンは、
「この音はもっと短く」とか、
「この音はこういう音色で」とか、
そういうことを一切言われずに、レッスンが終わったのでした。
当時からもう演奏はできなくなっていましたが、
とにかく巨匠のオーラが漂っていて、
すごい存在感でした。
亡くなったというニュースはかなりショックでしたが、
ニコレさんの演奏や、ご指導にあたられた功績は、
世界中で語り継がれていくでしょう。。。